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危機的なセレクト

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『努力しない生き方』桜井章一

けっして“努力しない”に惹かれたわけではない(言い訳)
麻雀の世界で20年間無敗という桜井氏。
なんだか無頼な、無重力な軽やかな生き方をしている人のような気がして
少し気になっていた。

本を開くと…
持たない
得ない
壁を越えない
頑張らない
悟らない
苦しまない
満たさない
正さない
覚えない

という、ないない尽くしの項目。

足していくことばかり考えてしまう毎日に
なくしてもいいものの存在を気づかせてくれる。


一番膝を打った言葉

「知識が多くて頭がいいなという人を見て自分を反省するようなことはないが、
 知識も何もない赤ん坊なんかを見ると自分の未熟さをつい反省したくなる。それが私の実感だ。」

友人や身内の赤ちゃんの無邪気なその姿を見ていると、
何やらこの子は私より“わかっている”のではないか
とふと思わされることがある。

努力の必要性も忘れたくないが、
さらに次の段階に待っているのは力の抜き方。
努力は、あくまで道具であると考えると、わかりやすいかもしれない。



さらにもう一冊。

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『折れない心の作り方』齋藤孝



『努力しない生き方』に『折れない心の作り方』。

努力せずにずうずうしく生きていかんかなとする
邪な心がみえみえなセレクトとなってしまった…。
そんなつもりじゃあ………ある。

というか、これは半分仕事で読んだ。


齋藤先生は「縁を大事にして」生きていくことを説く。

これも縁だと思って・・・の姿勢が
今ある環境も自分自身も受け入れて生きることにつながる。
本ひとつとっても縁を感じてその知識や思想を血肉にしていくことで
それが自分を支える礎になる。

自分、周囲の人、環境、出会い…それらの縁を
すなおに自分に取り込むことで心がしなやかに強くなる。

人は一人では生きていけない――そのことを知ることが強くなる一歩なのかもしれない。


この本の後半でイチローの話が出てくる。
たゆまぬ練習の鬼だったり、道具を毎日丁寧に手入れするのは有名な話だが、
さらには、
遠征先に枕やマッサージ器具をもっていくのはもちろん、
朝ごはんは毎日手作りのカレーと同じ、移動時間はつねに同じ曲を聴き、
ランチの店もつねに同じ。
シーズン中は人のバットのグリップは握らない。
自分の手の感覚が狂うから。

同じリズムでステップを踏みつづけることで、
自分の調子を維持する、平常心を生むシステムをつくる。

つまり、マウンドに立っていない時間まで
1日24時間が野球のリズムをつくるために費やされているんだね。

人はこれを努力というだろうが、イチローさんにしてみれば日常なのだろう。

齋藤先生は「習慣の技化」と呼んでいるが、
つまり、努力が習慣というレベルまで高められているのだと思う。
そのとき、もう努力ではない。
平常心で日常をおくっているだけである。


努力しないとはそういうことなのかもしれないと思う。
by room2room | 2010-08-29 14:04 |


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