砂糖の世界史

『砂糖の歴史』川北稔著(岩波ジュニア新書)
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砂糖、コーヒー、紅茶、チョコレート――

19-20世紀にかけて人類を魅了してやまなかった
「世界商品」にスポットを当てて
奴隷貿易、植民地、プランテーションがどのように進められたかが語られます。

とくに、砂糖。
ヨーロッパ列強による砂糖きびの発見が
本格的な奴隷制度の成立に拍車をかけたといいます。

そして、砂糖に付随して、
コーヒー、カカオ、紅茶の栽培に
植民地のプランテーションは広がり、
これらの嗜好品は、支配階級の豊かさの象徴として
ティーパーティなどで重用されたといいます。


ちなみに、
フランスでカフェ文化が花開いたのはコーヒーの輸入に成功したから。

イギリスも最初はコーヒーを輸入していましたが、
東インド会社が成功して紅茶の輸入はスムーズだったので
だんだんと紅茶に移行していったようです。

紅茶は家で淹れやすいけど、コーヒーは家で容易には入れられなかった。
このため、フランスではカフェ(コーヒー・ハウス)が発達していったようです。
そしてそこは人々の情報交換の場であり、言論の場となっていきました。


こんな小洒落たことがヨーロッパで繰り広げられている一方、

アフリカ大陸からは何万もの奴隷がアメリカ大陸に運ばれて
砂糖生産のために、苛酷な労働を強いられてきたわけです。

ちなみに、
>19-20世紀にかけて
って書いたのは、
20世紀後半から21世紀において
砂糖はすでに羨望の的でなく、悪者になっているから。

砂糖を減らしてダイエットに成功することがハイクラスの人々の象徴であり、

砂糖きびに変わって砂糖大根(ビート)が温帯でも栽培可能になったこともあり、

「世界商品」としての砂糖きびの歴史は終焉に入ったことが
本書の最後で語られます。


奴隷制度もなくなったしね・・・

と、めでたしめでたし、で終わりたいところなのですが、

この本を読んで思い出したのは、

2005年に刊行された『世界ブランド企業黒書』クラウス・ベルナー、ハンス・バイス(明石書店)
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人と地球を搾取する多国籍企業について
社名と、途上国などでの搾取状況について克明に語られている本です。

先進国の若者がこぞってほしがるスポーツブランドのシューズが
インドネシアではわずか数百円で、児童の手によって作られていたり、

ヨーロッパで1リットル約1ユーロで買えるオレンジジュースに対して
産地ブラジルの農民には0.26セント、400分の1の賃金しか払われていない 等々


日常的に身の周りにあふれかえっている世界的ブランドの
搾取の実態があきらかにされています。


世界は大きく変わったようで、
じつは表向きの形を変えただけで、
ほとんど変わっていないのだということが
現実として感じられます。
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by room2room | 2012-05-14 17:54 |


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